絵本のむし

おすすめの絵本をちょっとオタクかもしれない視点で紹介している。

児童書 「おかあさんになった警察犬アンズ」、他

「おかあさんになった警察犬アンズ」

鈴木 博房

2025年 岩崎書店

 

 

このブログで以前にも紹介させていただいたトイプードルの警察犬、アンズシリーズの続編です。

児童書 小1が読んだ本② 「がんばれ、アンズ!」 - 絵本のむし

警察犬アンズのニュース - 絵本のむし

 

前作は低学年向け版の方を読んでいましたが、こちらは中学年〜向けです。

長女も3年生になったので。

こちらの本はまだ出たばかりだからか、低学年版は今のところ無いみたいです。

 

アンズに3匹の子犬が産まれ、その子犬たちも警察犬の試験を受け警察犬になっている、という内容です。アンズの子育て、また先輩として警察犬トレーニングを指導する成長したアンズの姿に、シリーズを通して読んできた一読者でもとても誇らしくなりました。

 

実際にあった事件の話が面白いし文体も口語体で非常に読みやすいため本当にサラッと読め、小3の娘も1時間くらいで読み切ってしまいました。

 

この本の感想…  人間は愚か。

犬の方が人間よりもよほどしっかりしているな?!という事です。

読めば、わかるかと思います。

 

犬の子育てというと、以前実家で飼っていた犬が出産した際、自分の事を後回しにして痩せ細りながら甲斐甲斐しく子犬の世話をする姿に私の母は痛く感動しておりました。種族は違えど母としての姿に共感し思うところがあるのだろうな… と当時まだ独身だった私にはその母心はあまりピンときていませんでした。

が、自分も母になった今、アンズが懸命に子犬の世話をするくだりは涙なしには読めず、その時の母の心境を察しています。

 

そういう意味で、大人、特に母親にも子供と一緒に読んでみる事をお勧めしたいです。

何ならアンズには既に孫がおり、もしかしたらおばあちゃん世代にも共感できるかもしれません(アンズは孫にとても甘いそうです!)

 

子育ての部分以外でも、アンズや子犬たちが懸命に頑張る場面にいちいち泣けてしまい、歳のせいなのか犬だからなのか、低学年版でも泣けるしこのアンズシリーズは大人の涙腺に刺さりまくる気がします。

犬が死ぬ映画は無理っていう人の心境もこれなのかな。

 

 

娘も私もとても楽しく読んだので、低学年版のみ読んでいた前二作もあらためて元になった本で読んでみようとそちらも一緒に読みました。

やはり読めるならこちらの方が良いですね!当たり前ですが。

 

「警察犬になったアンズ」

併せてこちらも読みました。著者の鈴木さんがどのような経緯で警察犬指導士になったかという経緯が書かれています。

こちらも上記の本同様、中学年〜向けで、大変読みやすいです。

これまでの著作を読む中でほんのり感じていた(この方は普段どういう生活をしているんだろうな)という疑問が概ね解消されてすっきりしました。

こちらの本ではアンズ以外のシェパード達の事もたくさん書かれており、警察犬全般の事がよく知れます。

この本でも歴代の犬たちの最期に涙が止まりません...

 

それにしても著者の鈴木さんはもともと理系畑の方で、エネルギー関係のお仕事をなさっていたとか。それが警察犬指導士もされ、さらにはこんなに読みやすい児童書を書いてくれるなんて、、よくよく考えてみればかなり凄い方だな、と思いました。

だれも知らないアンパンマン やなせたかし初期作品集

朝の連続テレビ小説で放送中の「あんぱん」。

 

そんなにしっかり見ているわけではないのですが、やなせたかし もとい "やないたかし" 先生が「ぼくらはみんな生きている」の作詞や「やさしいライオン」のラジオドラマが好評な中、なかなか漫画家としての活躍ができず思い悩む姿が描かれています。

 

 

そんなやなせたかし先生の漫画ですが、私はこちらの本で読んだことがあります。

 

「だれも知らないアンパンマン やなせたかし初期作品集」

やなせたかし

2016年 フレーべル館/ 復刊ドットコム

絵本ではなく完全に漫画形式で描かれたアンパンマンの話です。

これが、面白い!

 

以前このブログでも書いたのですが、私は今の幼児..というかほぼ赤ちゃん向けに特化してしまったアンパンマンには否定的でして... 

 

私が好きなのはミニブックスのアンパンマンシリーズなのですが、この漫画シリーズは当然絵本より更に対象年齢高め、少しシニカルなユーモアが冴えてクスッと笑える内容になっています。 ひらがなで書かれているので年長〜低学年くらいならひとりで読めそう。

 

例えばらくがきこぞうに町中落書きされて困っている人がアンパンマンに助けを求めるのですが、漫画のアンパンマンは「ぼくのしごとはひもじいひとをたすけることだ、これはちがうなあ...」 などと言い帰ろうとします。

 

「だれも知らないアンパンマン」より

 

「ぼくのあたまのなかはあんこだから、むずかしいことはかんがえられない」

 

今のアニメ版アンパンマンからすればあり得ない言動も多く、何とも人間味があって面白い!

 

 

漫画版で一番キャラクターが違うのはバタコさんでしょうか。やんちゃそうで料理が下手という設定が、新鮮です。

「だれも知らないアンパンマン」より



 

「お腹がすいた人を助けるのは絶対的な正義」という面が有名なアンパンマンですが、アンパンマンを知っている大人にこそ、こんなに面白く読める作品もあるというのを知ってもらいたいです。

 

 

ルッコラのちいさなさがしものやさん

 

ルッコラのちいさなさがしものやさん」

北澤 平祐

2022年 白泉社

 

とっても可愛いイラストの、さがしもの要素あり絵本です。

 

イラストレーター北澤平祐さんのおしゃれで素敵な絵が場面いっぱいに広がり、そのキュートな世界にめいっぱい浸れるので可愛いもの好きにお勧め!

探し絵も楽しめますが、一生懸命探さなくても大人も子供も眺めているだけで楽しめます。

私は娘2人とイラストから色々想像したり、見て!こんなものある!と見つけ合ったりしました。

 

イラスト密度がすごいので、かなりお得な気分になる絵本。

可愛いもの好きにプレゼントしても喜ばれそうです。

 

北澤平祐さんは他にも絵本を出していらっしゃるので、他のも読んでみたいと思いました。

 

 

児童書 「新訳 飛ぶ教室」

「新訳 飛ぶ教室

エーリヒ・ケストナー 作 那須田 淳 木本 栄 訳

2012年 KADOKAWA

角川つばさ文庫

長女も小学3年生、中学年に突入しました。

本は好きですが、なかなか気に入るものを見つけるのが難しいようです。

私の薦めるちょっとオールドスクールな本は読んでくれず、青い鳥文庫の「トキメキ図書館」や「黒魔女さん」シリーズなんかにハマっています。

これらの本は私自身は読んでいないため紹介は出来ませんが、シリーズ数が多いためどんどん次を読むことが出来るの点が良いなと思いました。

 

名探偵コナンが好きなので、元ネタも知っておいたら?とシャーロックホームズの児童書版を借りて来ましたが、どうも今ひとつハマらなかったようです。

もう少し大きくなってから大人版を読んだ方が良いかな。

 

 

そんな中、児童文学といえばやはりケストナーなんか不朽の名作だし読んではどうかと思ったのですが、これまでの傾向から言ってやはり翻訳が古いと読みづらかったり言い回しが古くてよく分からない(だから読みたくない)みたいな感想が返ってくるのです。

ですが、角川つばさ文庫から「飛ぶ教室」の新訳版が出ている事を検索して知りました。

イラストも現代風で大人からすると違和感がありますが、小学生にはかなり取っ付きやすくなっていると思います。挿絵も多めに入っているし、内容も読みやすいと感じました。

書かれた年代も古く、しかもドイツの寄宿学校という特殊な環境がすぐには理解できない部分もあったようですが、よく分からない部分は読んであげたり説明してあげたりして、最後は感動していました。

寄宿学校の学年システムや、中学生にあたる年齢の子が普通にタバコを吸っていたりする、現代の感覚では理解し難い部分などには注釈が付いていて理解しやすくしてくれています。登場人物が結構多いので最初なかなか覚えられないのですが、最初のページに登場人物一覧があるのでそれも助かりました。

 

小学生から高校生くらいまでの年代の子達が寮で一緒に暮らしている、という状況は、「忍たま乱太郎」を例に出すと子どもには分かりやすいかも?

 

私も今回久しぶりに読み直したのですが、お母さんくらいしか女性は出て来ず、少年同士の友情や結束だけでなく大人の男性のブロマンスもあり、なんというか思いの外少年漫画的な世界だったんだな、と感じました。漫画なら同人誌めっちゃ出そう...

 

大人なので正義先生や禁煙さんの側に感情移入してしまいましたが、少年たちの純粋で繊細な心情が瑞々しく、色褪せない名作でした。

文体が取っ付きにくくてこういった名作が読めないのは勿体無いので、読みやすい新訳を出してくれてありがとうございます!とこの件に関してはKADOKAWAに感謝です。

 

こういうテイストの新訳版は出ていないけど、「エーミールと探偵たち」も勧めてみようかな。

ぼくのへや

「ぼくのへや」

伊藤ハムスター

2023年 KADOKAWA

 

私は部屋を片付けることが大の苦手で、常に物がごちゃついているのですが...

そんな私にとって冒頭から「わかる〜〜」と共感し、また身につまされた本です。

アライグマがオシャレでキレイに片付いた友人の部屋に憧れて、大切な物を勢いでたくさん手放したのち、それを再び取り戻す話。

 

私自身、物が少なくきれいに片付いたよそのお家にお邪魔するたびに、これではいけない!片付けて人を呼べる家にしなければ!と猛省する気持ちと、断捨離なんて言葉はクソ食らえだ!!と思う気持ちとの間を常に反復横跳びしております。

この絵本のアライグマにおいては結局お気に入りの物に囲まれつつも以前よりは片付いたいい感じの部屋に最終的に落ち着いているため、自分もやはりこういった落とし所を見つけねばならぬ... という決意を新たにしました。

 

あまりにも自分の話ばかりになってしまいましたが、イラストレーターである伊藤ハムスターさんの絵が大変キュートかつユーモラスで、描き込み系絵本が好きな私にとってもかなり好きな本でした。

部屋に置いてあるヘンテコなものを眺めたり、市場なんかのウォーリーを探せ的な描き方も飽きずに眺めていられます。

そもそも4歳の次女が選んで借りてきた絵本なのですが、彼女も可愛い絵を眺めたり絵から面白いものを探し出したりして楽しんでいました。

 

可愛くてオシャレなイラストなので、大人が持っていたくなるような本でもあるかなと思います。というか、内容としてはやはり大人の方が共感できる話なのかもしれません。

 

警察犬アンズのニュース

テレビを見ていたら、こちらのニュースを見かけました。

 

news.yahoo.co.jp

 

これは!「アンズ」じゃないか!

すぐに娘を呼び、娘とニュースを見て盛り上がりました。

こちらの警察犬アンズ、以前このブログで紹介しましたが児童書になっているのです。

 

nyoromura.hatenablog.com

 

何だか知り合いがテレビに出ているような嬉しさを勝手に感じてしまいました。

 

同時に、この本が2018年の出版でしたので、アンズが未だ現役であることに驚きました。記事によると12歳だそうです!

本の後書きにはアンズはお母さんになって後進を育てているという事も書いてあったため、一線を退いたのかと勝手に思っていましたがまだまだ現役だそうで。

ちなみに記事には、アンズの子ども2頭もしっかり警察犬として活躍していると書かれています。

母になっても意欲的に仕事に励むアンズの事を思い、何だかグッと来てしまいました。

 

また上記ニュース記事の最後には

アンズについては過去に書籍化されているが、今夏にも「おかあさんになった警察犬アンズ」(岩崎書店)が出版される予定だ。

 

とありました!更なる続編が夏に出るようですね。

書籍の良い宣伝にもなって、孝行犬です 笑

 

「がんばれ、アンズ!」では若いアンズの健気な頑張りに心打たれましたが、次に出る本では母、そして職業人として、同世代かむしろ人生の先輩のようなアンズの姿に共感させられるのかもしれません!

お題「本屋さん」(金沢の福音館書店のこと)

今週のお題「本屋さん」

 

これはもう10年以上前の話なんですが、友人と2人で金沢旅行に行った時のことです。

季節は春か秋か忘れてしまいましたが、朝、夜行バスから降りると寒いのなんのって。

しかも小雨が降っていて街歩きどころではありません。

 

兼六園に行こうと思っていたのですが、とりあえず雨宿りがてら入れるお店を震えながら探していたところ、兼六園のすぐ近くのビルの中に福音館書店の本屋さんがあったのです。

 

その時は結婚も子育てもしておらず普通に会社勤めの社会人でしたが、子供の頃から福音館書店の絵本で育ってきたので福音館書店には馴染みが深く、雨宿りしつつ本屋さんも見たくて入店しました。

店内は広くはないものの福音館書店の絵本がぎっしりで、ゆっくり絵本が読めるカーペット敷きのスペースもあったと記憶しています。

見覚えのある懐かしい絵本がいっぱいで、他にお客さんもいないなか店内で友人とふたり、懐かしい絵本や初めて見る絵本をじっくり堪能させてもらいました。

書店員さんもとても優しく、雨宿り目的で入ってきた私達ににこやかに応対してくれ、買い物の際におまけで「わにわにのおふろ」の一筆箋まで付けてくださったのです。

寒い中暖を与えて貰えた事もあり、この経験がとても素晴らしかったため元々好きだった福音館書店への私の好感度はカンストしました。

 

旅行から帰ってから調べて知ったのですが、福音館書店はもともと金沢でカナダ人宣教師が創設したキリスト教の本を扱う書店で、私が訪れた香林坊の書店はそれこそ発祥の地だったわけです。

 

残念ながらこちらの書店は2012年頃にビルの解体に伴い休業、という形になってしまったようで、その後再開したという情報は見つけられませんでした。

せっかくの発祥の地ですから、ぜひ金沢での営業を続けてほしいといち読者としては思います。

 

この時の金沢旅行を思い出す時、街の喧騒から切り離されたような温かく静かで穏やかな福音館書店のことが、その後行った兼六園よりもむしろ強く印象に残っているのです。