絵本のむし

おすすめの絵本をちょっとオタクかもしれない視点で紹介している。

いつもちこくのおとこのこ - ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー 他

 

「いつもちこくのおとこのこ - ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー」

ジョン・バーニンガム 作 たにかわしゅんたろう 訳

1988年 あかね書房

 

イギリスの有名絵本作家ジョン・バーニンガムさんの絵本。

私はジョン・バーニンガムといえば「ねえ、どれがいい?」と「ガンピーさんのふなあそび」が代表作だと思い込んでいたけれど、この本も相当有名みたいで。それなのにこれまで取りこぼして読んだことがなかったのだけど、図書館で表紙を見ただけでこれは絶対面白いでしょう!と思ったので中身も見ずに借りました。

訳はジョン・バーニンガムの絵本の翻訳を多数手掛ける谷川俊太郎さん。

果たして、とても面白い絵本でした。

 

簡単に言うとジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーという男の子が毎日勉強しに学校へ行く道中でトラブルに遭い毎回遅刻して怒られてしまう話。

まずこの日本人にはあまり馴染みのない長ーい名前を呼ぶだけで呪文のようで何だか面白いですよね。ただ「寿限無」とは違って名前が長いことに特に意味はありません。たぶん。

 

皮肉が効いていて少し哲学的で、子どもには子どもの、大人には大人の楽しみ方ができる絵本という感じ。反権威的な話でもありそう(表紙からしてもうね)。

色々な解釈、感想がありそうな、余白のある絵本です。

 

我が家は6歳の次女がこの長い名前を面白がり、彼に降りかかる理不尽な受難に憤っていました。10歳の長女は学校の先生というものがある程度わかっているため、簡単には笑えないようでした...

大人としては、こういう大人であってはならないと反面教師になりますね。

 

 

 

 

ジョン・バーニンガムの絵本、独特でどれも面白いですよね。とてもイギリス的だと思います。

私は上述したように「ねえ、どれがいい?」と「ガンピーさんのふなあそび」が代表作だと思っているのですが、何というか...私にはその面白さをうまく言語化できなくて悲しい。

ただ、この面白さって現代の絵本にはなかなかないような気がしていて、子どもウケを狙って出せる面白さじゃないというか。

そういうところが、すごくユニークで良いですよね。

 

もっと彼の作品を読まねばという気持ちになりました。

 

「ねえ、どれがいい?」

子どもと会話が広がって読むのに結構時間がかかります。

「えっ それを選ぶの? 普通はこれ一択でしょ!」みたいな、子どもとの価値観の違いにびっくりしたり、なぜそれを選んだのかの理由をあれこれディベート(そう、本当にディベートみたいになる時がある)するのも面白いのです。

10歳の長女は、後半の「お店でカスハラをするお母さんか教室で踊り出すお父さんか」という2択でカスハラの方を選んでいて、断然踊るお父さん派の私には衝撃でした。

「教室」という知り合いばかりの場所より、その場限りのギャラリーしかいなそうな「お店でカスハラ」を選んだみたい。

 

 

「ガンピーさんのふなあそび」

ガンピーさんは暇なおじさんなのか?こんな優雅な生活をしてみたいものです。

マザーグース的な反復される文章が面白い(ジョン・バーニンガムさんの作品は全体的にうっすらマザーグースぽさがある)。

英語のCDが付いた本も売られていたり、英語での響きも楽しめそう。

何となくオチがわかる面白さというのもあり、比較的低年齢から楽しめる。

ガンピーさんはシリーズものなのか、他にもガンピーさんが車でドライブしたりサイに乗ったり(?)する本もあります。

 

↓CD付き

 

 

 

 

 

(アニメ)ドラゴンボール Zとか改とか無印とか

 

今週のお題「アニメ」

 

最近、娘たちと一緒によく Amazon の Prime video で「ドラゴンボール」のアニメを見ています。

 

 

もともと10歳の長女に実家にあった漫画版を読ませていたのですが、途中までしかなかったため残りの話を補完するためにZの途中から見ていました。

ただ... 私は当時リアタイで見ていたのでよ〜く知っているのですが、フリーザ編あたりのドラゴンボールZは原作に追い付きそうになっていたため話の引き伸ばし方がエグく、ジリジリと対峙したまま全く話が進まず、久しぶりにアニメを見てそのイライラを再び体験する事となり発狂しそうになりました。

(ショート動画見たり動画を倍速視聴してるような現代人は5分と見てられないかもね)

 

ですが、Prime video には当時放送されていた「ドラゴンボールZ」の他に「ドラゴンボール改」という無駄な引き伸ばし部分をカットし原作の漫画に近いテンポ感に再編集したシリーズがありました!

ありがたい!!!!

(放送当時は知らなかったけど2009年からTV放送していたそう)

アニメは放送当時のをデジタルリマスターし、OP, ED, アイキャッチが新たに描かれた独自の物に差し代わっている。なのでその部分だけ作画が違ってちょっと違和感です。

OPは「CHA-LA HEAD-CHA-LA」が聴きたいのでそこも少し残念。

あと今調べて知ったけど、音声は再録しているらしい!そうだったのか!!

なのでZとは違う声優さんが演じているキャラクターもあると。

 

www.amazon.co.jp

 

とにかく、この「改」によってあのまだるっこしい「Z」を見なくてよくなったのは人類にとっての進歩ですね、ありがたい!(2回目)

 

そして今、「改」を少し休憩して、途中から見てしまっていた6歳のためにオリジナル無印「ドラゴンボール」のアニメを1話から見始めたところです。

 

セル編くらいから1話に戻ると、本当に同じ漫画なのか??て思いますね。

当時は漫画で最初から読んでいたので、少しずつバトル漫画化していく事にそこまで違和感はなかったけどこうして戻ってみると別作品のようです。

昔、韓国人の女の子が同じ事を言っていました。Zのスーパーサイヤ人あたりからのドラゴンボールしか知らなかったため、初期の話を見たらすけべなブタが出てきたりして全く違うテイストで驚いた、と。

 

そう、初期のギャグ強めエロありのアドベンチャー編(勝手に命名)は、今見ると普通に性犯罪では?と思うようなどぎつい部分がちょこちょこあり、ちょっと子どもと見るのには向いていないのでした...  見てるけど。

 

でも、初期アドベンチャー編、私は好きです。

アニメも、普通に作画が良い!!

主題歌の「摩訶不思議アドベンチャー!」も子どもたちはすぐに覚えて歌ってるし、

一緒に楽しめて嬉しいです。

 

ちなみに私はたまにある人情話が好きです。

悟空が占いババの所で孫悟飯に会う話、

悟飯(息子)とピッコロとの絆の話、

たまに挟まる泣ける話がいいアクセントになってる。

 

児童書「デュポン書店の奇妙な事件」

「デュポン書店の奇妙な事件」

ファブリーツィオ・アルティエーリ 作 クラウディア・ペトラッツィ 絵

よしとみ あや 訳

2025年 影書房

 

舞台は第一次世界大戦が終わって数年後のパリ。

「本屋通り」という名の通りなのになぜか本屋はない、その通りで母ひとりで営んでいる小さな香水屋の娘であるデジレと、孤児院から脱走してきたホームレスでスリの少年が主人公。

スリの少年マックスは警察に追われ、デジレの母が営む香水屋の近くにある閉店してから長い間放置されている元本屋に逃げ込むが、そこにはなんと人が住んでいた。一方、元本屋の通りの向かいには新しい大型書店がオープンし大繁盛しているが...

デジレとマックス、2人で力を合わせて悪い大人をやっつける話。

 

話の導入がうまく、謎が多くて惹きつけられる一方、後半のストーリーは特に都合良く話が進みすぎるし最後もハッピーエンドの大盤振る舞いすぎる気はするが、児童文学なのでこんなものなのかもしれない。

噛みタバコをペッと床に吐き捨てる第一印象最悪な香水屋の常連のお婆さんが、実は超重要人物。

子どもたちが機転を効かせ、協力し、悪い大人をやり込める、というストーリー展開が名作児童文学の「エーミールと探偵たち」や「名探偵カッレくん」なんかを連想させるが、探偵部分がメインというわけでもなく、人間ドラマと作者の本を愛する気持ち(そして売れない作家を応援する気持ち?)が感じられる作品。

話に出てくる"悪い大人" が商業的な大型書店の経営者、という点も何だか作者の個人的な思いが感じられて面白い。個人書店 vs 大型書店の話でもある。

舞台となった時代は古いけど、書かれたのは割と最近(原作本の出版はおそらく2021年)で、しかもイタリアの作家であるようだ。

 

実はこの本、長女が読むかなと思って借りてきたが、読まなかった!なので自分で読みました。中学年には丁度いい内容とボリュームだと思ったけどな。

 

長女は相変わらずポプラキミノベルとか読んでます。

最近は「歴史ゴーストバスターズ」にハマっているらしい。

 

ベーコンわすれちゃだめよ!

 

「ベーコンわすれちゃだめよ!」

パット=ハッチンス さく わたなべ しげお やく

1977年 偕成社

開いた瞬間に「この本、子どもの頃読んだことある!」と一瞬で記憶が戻ってくる、そんな絵本があったりします。

この本もそうです。たまたま図書館で手に取り、これ読んだことある!とテンションが上がりました。

 

 

忘れちゃいけないことを口に出したり頭の中で繰り返し呟くことってありますよね、私はあります。悲しいことに探し物をしながら何を探しているか忘れたりするポンコツなので「消しゴム、消しゴム、消しゴム...」などとブツブツ唱えながら探したりする事があります。

この本に出てくる男の子も、おつかいで頼まれた数点の品物を忘れないよう心の中で唱えながらおつかいに行くのですが、その品々が道すがら目に付いたものとだんだんと入れ替わっていきます。

原作は英語で書かれていて英語の韻を使ってeggがlegに変わっていく...みたいな内容のようなのですが、さすがに翻訳でそこまでは表現しきれてはいないため、日本語で読むと単純に目に付いた違う物に脳内で置き換わっている、という内容になっています。

でも、それでも全然違和感なく読めるんですよね!

 

というのも、人間は一度に3つから5つくらいの事しか同時に覚えられないと言われていますが、何か考えていても新しい情報が入って来たらトコロテン方式に押し出されて古い情報を忘れてしまったりというのは誰しも覚えがあると思うのです。(「ジョジョの奇妙な冒険」のジェイルハウスロック状態ですね...)

この絵本はまさにそういった状況を思い起こさせるので、韻を踏むという話の核となるような部分がなくなっても十分面白いわけです。逆にそれがない分、エキセントリックさが増して不思議な魅力を生み出しているとさえ思えます。

更に物語の終わりにかけての回収やオチへのプロセスもよく出来ています。

 

 

そういった妙に記憶に残る面白さだったためか、ずっと忘れていたのに見つけた瞬間に思い出してテンションが上がったのだと思います。

自分の子どもたちも、将来こうして昔読んであげた絵本に出会った時、思い出してくれたら嬉しいかも。

まさかりどんが さあ たいへん

 

「まさかりどんが さあ たいへん」

かこさとし

小峰書店 1996年

 

かこさとしさんの絵本ですが、最近読んで知りました。

この本に人間は出て来ず、とにかく様々な擬人化された "道具" 更に言えば "工具"だけが次々と出てくる絵本です。工学博士でもあるかこさとしさんらしい絵本でもあるなと思います。

 

最初は大工道具のようなものだけ出て来るのかと思いきや、後半になって更に色々なジャンルの「工具」や「道具」が出てきます

文体も講談のようでリズミカルで面白い。

特にストーリーというほどのストーリーはないけれど、文体の怒涛の勢いだけでなぜか最後は大団円。そんな力技になんでか子どもも盛り上がる!

 

大工道具から始まって作業工具、最後はコンピューターに行き着くこの絵本は人類の技術史のようでもあるし、それらの道具を使って最終的に作り上げるものが芸術、というオチも美しい!

ともすればただの「工具図鑑」になりそうなテーマをこんな面白い絵本にしてしまうあたりが、かこさとしさんの作家としての圧倒的力量を感じます。

 

 

 

実はこの本を気に入ったのにはもう一つ極めて個人的な理由がありまして...

この本に出てくる道具たち、

大工道具... 私の父が木工関係の仕事なのでほとんど持っています。

裁縫道具... 私が洋裁をしているため全て持っています。

作業工具、電子工具... 夫の専門でこれも家に揃っています。

 

つまりこの本に出てくる殆どのジャンルの道具/工具は私や家族がそれぞれ持っているのです。私の家族の絵本だ!とすら思いました。

そんな事もあり、本自体の面白さもあって5歳の娘もすっかりこの本を気に入りました。

自分でも買いたいし父にもプレゼントしたいなと思います。

 

まないたに りょうりを あげないこと 他 コックさんシリーズ

 

「まないたにりょうりをあげないこと」

シゲタ サヤカ

2009年 講談社

最近、親子ともどもシゲタサヤカさんの絵本にハマっています。

コックさんシリーズの本が面白い!

年長の次女も小学生の長女も面白いと気に入っています。

最初のコックさんシリーズの本が出てからもはや15年経過しているそうですが、今までその存在を知らなかった事が悔やまれます。

 

シゲタさんの絵本に出てくるレストランはどれも大きくて繁盛していて何人ものコックが大忙しで働いていて戦場のよう。

それが妙にリアルな気がして料理人のご経験がある方なのかな?と思いましたがそういうわけではないようです。

ただ厨房の様子や料理が好きで、料理や食べ物以外のモチーフは描けないと仰っていました(後述の記事参照)。実際に、作品は全て食べ物にまつわる絵本です。

 

絵が独特でいい感じなのですが、何といっても話に意外性や独創性があってとても面白い!大人でも面白く読めます。

 

私が一番気に入っているのは冒頭で紹介しているコックさんシリーズ1作目の「まないたにりょうりをあげないこと」

まないたがとてもいいキャラをしていて大好きです。

 

 

以下、他のコックさんシリーズです

コックさんたちは同じメンバーなので、ある本では脇役だったコックさんが他の本では主役になっていたりして、シリーズで読むとまた楽しめる仕掛けに。

 

「りょうりをしてはいけないなべ」

 

こちらも鍋が良いキャラです。表紙裏のイラストも内容と繋がっていて面白い。

 

 

「コックのぼうしはしっている」

 

ちょっと悪いコックさんが主人公。これを読んでから他のシリーズでの彼を探してしまいました。

 

 

「いえいえ、そんなことはありませんよ」

 

コックさんシリーズ13年ぶりの最新作がこちら。

ちょっと意外な展開にびっくり!

 

コックさんシリーズについてはご本人にインタビューしたこちらの記事が詳しくて面白かったです。

合わせてぜひ。

cocreco.kodansha.co.jp

 

コックさんシリーズ以外の作品はまだ読んでいないので、今度はそちらも読んでみようと思います。

 

 

ともだちはマーメイド

 

「ともだちはマーメイド まちにまったまほうのよる」

ブライオニー・メイ・スミス 作・絵  ひびの さほ 訳

2023年 岩崎書店

 

 

同じ作者の「まいごのユニコーン」が可愛くて気に入ったので、探して借りてきました。

こちらも絵が可愛く、イギリス郊外の街並みやマーケットの他にマーメイドの世界も描かれていて、ファンタジー度合いは高いです。海の中のマーメイドのおうちもモロッカンタイル風で可愛く、水の中の感じがよく出ていて素敵でした。

あらすじは、港町に住む人間の女の子モリーとその友達マーメイドのメルリン。年に一度の”つきまつり”でメルリンは街に行くことができますが、地上にいられるのは月が出ている間だけ。月が沈む頃海に帰ろうとするメルリンですが、モーリンにトラブルが...

 

5歳の次女の感想は「呪文の力で解決していていまいちだった。自分の力で何とかして欲しかった。」

... き、厳しくない? 色々心配になります。

 

ともかく、モリーとメルリンの友情が暖かい気持ちにさせます。

 

調べてみましたが「人魚姫」以外の人魚の本て意外と少ないみたいなので、人魚が好きな子にお勧め。