「ちいさなたいこ」の記事を書いたときに思ったんですが、そういえば福音館書店の昔話シリーズは書いていなかったなと思って。
「ももたろう」
松居 直 文 赤羽末吉 画
1965年 福音館書店
桃太郎の絵本といえばとりあえずこれ!ではないでしょうか?赤羽末吉さんの絵のロングセラー絵本です。子供の頃、鮮やかな色の桃や吉備団子がジューシーで美味しそうだなあと思っていました。
読んだことある人はわかると思いますが、桃が流れて来る場面のオノマトペは「どんぶらこ」ではなく「つんぶく かんぶく」。
つんぶく は岩手の方の方言らしく、数多ある桃太郎絵本の中にはこちらの「つんぶく」やそれに似た派生系を採用している本も結構あるようです。
スタンダードな内容ながら、随所に絵と相まっておもしろおかしく感じられる表現が多いです。
「桃太郎」みたいな誰でも知ってる一般教養みたいな昔話、あらすじだけ知ってればいいでしょ、内容が同じならどの本でもいいでしょ、という考え方の人も世の中にはいるかもしれないけれど、
以前、Amazonのプライム・ビデオで無料で見られる名作アニメシリーズ(各数分のめちゃくちゃ短いやつ)みたいなのを見た時に、あまりのつまらなさにひっくり返りそうになりました。
昔話ってこんなにつまらなくできるんだ!と新鮮な驚きさえありました。
つまらない絵本はまず読み聞かせする私の方が苦痛で耐えられないので、絵も文も面白いに越したことはないですよね。
文を担当された松居直さんは、作家ではなく福音館書店の編集者で、同社の経営者佐藤喜一さんの娘さんと結婚され、のちに福音館書店の社長になった方です。
私は恥ずかしながら松居さんの事をよく存じ上げなかったのですが、
「こどものとも」や、先日惜しくも休刊が発表された「母の友」を手掛けられたまさに現在の福音館書店の地位と信頼を作り上げた方だったのですね。
その生涯は福音館書店のHPで詳しく紹介されていました。
話が少し「ももたろう」から外れましたが、
絵は福音館書店の絵本ではお馴染みの赤羽末吉さん(「スーホの白い馬」など)。
赤羽末吉さんは福音館書店の絵本「セロ弾きのゴーシュ」に感銘を受け、絵本画家になりたいと松居直さんに手紙を出し、「かさじぞう」で50歳の絵本画家デビューした方。話にとてもマッチした絵は何十年経っても古くならず、親から子へと受け継いでいける絵本だと思います。
因みに絵本に子ども向けの絵ではなく「本物」を届けようと、絵本に有名な日本画家やデザイナーを起用してきたのも松居さんの功績だそうです。
福音館書店から出ている赤羽末吉さんによる名作絵本の数々
↓↓↓
その中でも「こぶじいさま」はとくに私のお気に入りなので、次の記事で紹介します!